栃木県宇都宮市の「なごやか農園」で、じゃがいもやきゅうりを育てています。
スーパーの野菜売り場では、一年を通してさまざまな種類のじゃがいもを見かけるようになりました。その中でも、黄色い果肉と、少し赤みのある芽が特徴的なのが「キタアカリ」です。
男爵やメークインに比べると、少し名前に馴染みのない方もいるかもしれませんが、キタアカリには、この品種ならではの食感や甘みがあります。
じゃがいもは、品種によって向いている料理や食べた時の印象がかなり変わる野菜です。
今回は、私たちが実際に育てている立場から、キタアカリの特徴や食べ方、保存のポイントについてご紹介します。
キタアカリとは、どんなじゃがいもなのか
キタアカリは、もともと北海道で「男爵薯(だんしゃく)」をもとにして品種改良されたじゃがいもです。今ではスーパーでも見かけることが増え、定番の品種のひとつになりました。
私たちがこの品種を育てていて感じるのは、色味や甘み、食感に、キタアカリらしい特徴があることです。
独特の色味と芽の赤さ
まず見た目ですが、皮をむくと中身がうっすらと黄色いのが特徴です。この黄色はカロテンによるもので、一般的な男爵よりも濃い色をしています。また、芽の出ている部分(くぼみ)が少し赤みを帯びているので、土を落とすと他の品種と見分けがつきやすい。
ほのかな甘み
「甘いじゃがいも」と言われることも多いですが、お菓子のような甘さではありません。噛んでいるうちに、でんぷん質ならではの素朴な甘みが、じわっと広がっていきます。
ホクホクとした食感
男爵の血を引いているだけあって、火を通すと粉をふいたような質感になります。ただ、男爵よりも火の通りが少し早く、口当たりが滑らかな印象があります。
新じゃがの時期について
収穫したばかりのキタアカリは、皮が非常に薄く、みずみずしさも感じやすくなります。
この時期のものは、皮ごと蒸したり、シンプルに火を通したりするだけでも、キタアカリらしい風味を楽しみやすい時期です。
同じキタアカリでも、収穫した直後と少し置いた後では、甘みや食感の印象が少し変わってきます。
男爵やメークインとの違いを知る
じゃがいもの種類を選ぶとき、よく比較されるのが「男爵」と「メークイン」です。キタアカリをどう使い分けるか、その目安をお伝えします。
| 品種 | 食感 | 向いている料理 | 煮崩れ |
| キタアカリ | ホクホク・粉質 | じゃがバター、ポテトサラダ、コロッケ | しやすい |
| 男爵 | ホクホク・強い粉質 | 粉ふきいも、コロッケ | しやすい |
| メークイン | しっとり・粘質 | カレー、肉じゃが、おでん | しにくい |
キタアカリは、男爵のようなホクホク感がありながら、甘みや口当たりが少しやわらかい印象があります。
注意点としては、メークインに比べると火が通った時に崩れやすいことです。カレーや肉じゃがなどで長く煮込む場合は、少し様子を見ながら調理した方が形を残しやすくなります。ただ、その溶けた部分が汁に馴染む感じを好む方もいらっしゃるので、このあたりは好みの問題かもしれません。
美味しいキタアカリの選び方
スーパーなどでキタアカリを選ぶ時は、以下のような点を見ると状態を判断しやすくなります。
- 表面にシワがなく、ハリがあるもの
- 持った時にずっしり重みを感じるもの
- 緑色に変色していないもの
- 芽が大きく伸びていないもの
特に光に当たって緑色になった部分は、苦味が出やすくなるため、避けた方が安心です。
また、収穫したばかりの新じゃがの時期は、皮が薄くみずみずしいものも多く出回ります。表面がなめらかで傷の少ないものを選ぶと、状態も比較的良いです。
キタアカリが人気な理由
キタアカリは、ホクホク感とやわらかい甘みのバランスが良く、家庭料理に使いやすいことから人気があります。
特に、じゃがバターやポテトサラダのように、じゃがいもそのものの味を楽しむ料理では、キタアカリらしい風味を感じやすい品種です。
男爵ほど粉っぽくなりすぎず、メークインほどしっとりしすぎないため、「ちょうど良い食感」と感じる方も多いように思います。
キタアカリがおすすめな、家庭での食べ方
キタアカリは、火を通すとホクホクした食感が出やすいじゃがいもです。味にもやわらかい甘みがあるため、あまり複雑な味付けをしなくても、美味しく食べやすい品種だと思います。
火が通るのが比較的早いため、調理する際は少し様子を見ながら加熱すると、食感も残りやすくなります。
1. じゃがバター
蒸したキタアカリに、バターと少し塩を添えるだけでも、キタアカリらしい甘みや食感をしっかり楽しめます。火を通すことで中がやわらかくなり、ホクホクとした口当たりの良さも感じやすい食べ方です。
2. ポテトサラダ
キタアカリは火を通すとやわらかくなりやすく、マッシュしやすいため、ポテトサラダにもよく合います。少し形を残すようにつぶすと、滑らかさとホクホク感の両方が残ります。
3. コロッケ
少し手間はかかりますが、キタアカリはコロッケにもよく合います。中がやわらかく仕上がりやすく、じゃがいもの風味もしっかり感じやすい品種です。
ご家庭での保存について
キタアカリを購入された際に気をつけていただきたいのが、保存方法です。
先ほども触れましたが、キタアカリは他のじゃがいもに比べて「芽が出るのが早い」という性質があります。
光を避ける
光が当たると表面が緑色に変わりやすくなるため、新聞紙などに包んで保存するのがおすすめです。蛍光灯の光でも変色の原因になることがあります。
温度に気をつける
暖かい場所に置いていると芽が出やすくなるため、できるだけ風通しの良い涼しい場所で保存してみてください。夏場など冷蔵庫に入れる場合は、乾燥を防ぐために新聞紙などで包み、「野菜室」で保存すると状態を保ちやすくなります。基本的には、風通しの良い冷暗所での保存が向いています。
もし芽が出てしまったら、その部分は包丁の根元で深めにしっかり取り除いてください。農家としては、なるべく芽が出る前の、しっかりした状態のうちに食べていただけるのが一番嬉しいです。
まとめ:キタアカリを見かけたら
キタアカリは、ホクホクした食感と、やわらかい甘みが特徴のじゃがいもです。
煮込み料理では少し崩れやすい部分もありますが、その食感を活かして、じゃがバターやポテトサラダ、コロッケなどによく合います。
じゃがいもは、品種によって食感や味わいがかなり変わる野菜です。もし野菜売り場で「キタアカリ」を見かけた時は、ぜひ一度手に取ってみてください。


